九州に台風が接近していることは、数日前から知っていた。
弥生丸はげんなりした。
台風は嫌いだった。
余計な仕事が増えるからだ。
船は海が荒れると動けない。予定も遅れるし、台風避難しなければならない。
案の定会社から呼び出しがかかり、職場へと向かった。
自船が風や波で流されたり傷ついたりしないよう、いつもより太いロープでしっかりと固定する。
すべての準備は整った。しかし台風はまだ日本列島の南側。
接近にはいましばらくかかる。暇である。とはいえ船から離れるわけにはいかない。
そうだ、ロン2をしよう。
ということで昼過ぎからロン2を開始した。
揺らめくタバコの煙。船室には一人なのに、麻雀牌を見つめると、どこか喧騒を感じる。
並ぶ缶コーヒー。まみれた牌。
しばらく経って、弥生丸の鼓動が高鳴り始めた。
マウスを握る手に汗が滲む。
くるんだ……来い……
心の中で、念仏のように唱える。
そしてついにテンパイ。汗の量が増量した。
悟られまいと平常心を心がける。
ネット麻雀とはいえ、通信網を介して、相手の心情を読み取る達人がいると限らない。
迷わずリーチを選択した。
出和了りなどに興味はない。すべて見逃す準備はできている。
野郎ども、せいぜい俺のリーチに逃げ惑うんだ。
……しかし、
向かってくる。なぜか全員が向かってくる。まるで自分の四暗刻テンパイを見透かしているかのように。
上がらしてたまるか、そう言っているようだった。
特に激しいのが対面だった。
「チー!」「ポン!」
華麗に牌を卓に叩きつける。
切ってくるのは生牌ばかりだ。
こいつ、やるじゃねぇか……
しかし、最後に笑うのは……
対面でした。
チーをしたあとに、上家がするどく差し込む。
上がった役は、タンヤオのみ(T_T)
ちくしょー(T_T)
蝶のように舞い蜂のように刺す様は見事でした。
ということでロン2を始めて初めての役満テンパイはテンパイまで。
戦績は相変わらず、ラスも引かないがトップも取れないというモミモミ状態。
それでもDランクバトラーはランクが上がりやすいように設定されているようで、D3バトラーまで昇格しました。
Bバトラーからが大変そうだな。目指せ王位。
おまけの画。
こういうリーチが大好きな弥生丸である(笑