壮年、という言葉がある。30歳から50歳程までの、気力、体力共に充実した期間、年齢を指すことが多い。
20代の頃は仕事なんて金さえ貰えればそれでよかった。そんなことよりも遊びに夢中だった。しかし家庭を持ち、30代に突入してしまった今日この頃、弥生丸は仕事にも興味を持ち始めている。壮年に差し掛かったということだろうか。悲しいような哀しいような。
ということで最近は仕事に関する本を読むことが多い。これもその一冊だ「99パーセントの人がしていないたった1%の仕事のコツ」
読み始めてすぐに気付くことがあった。それは、この本が「仕事のコツ」ではなく「ビジネスマン」のコツについて書かれてあるということだ。どうも実用書はビジネスマンを前提に書かれていることが多い。仕方のないことなのかもしれない。しかし弥生丸は船乗りだった。自分に限らず、ビジネスマンに限らない仕事人はたくさんいる。すべての仕事人を前提に書いてくれればいいのにと思う。それが無理なら、せめてビジネスマンとタイトルに書いていて欲しい。
ということで序盤はなんのことやらわけがわからなかった。専門用語が多いし、会議のコツなんかをこと細かに書かれても、そもそも会議なんて年一回か二回しかない。何十万部か売れている本という認識はあった。だからきっとビジネスマンには唸るところも多いのだろう。
いいなと思ったのはコミュニケーションのコツで「積極的に相手の名前を呼ぶこと」と書かれてあったことだった。誰かと話している時、その話し相手の名前を呼びながら話すのと、そうでないのでは、親近感が全く違ってくるという。確かにそうかもしれないと思った。名前を呼ばれると嬉しいものだ。慣れない相手であったならば、覚えてくれたんだ、という喜びもある。結局この箇所が一番印象に残った。一冊の本から、ひとつのことを学べば、それで十分だと思う。そのひとつを忘れないようにしよう。そう思い、弥生丸は本を閉じた。
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